Story #03
Co-leadersが生まれた物語
「相手から創る」プロジェクト
Story #03-1
2014年11月22日、CTIの「リーダーシップ・プログラム」がスタート。数多くいる参加者のひとりとして、私たちは出会いました。プログラムの中で2人1組で行う「コーリードプロジェクト」があり、偶然にも二人はペアになります。
まずは、知り合うところから始めようと、人生曲線(人生の山谷)を書いてお互いにシェアしました。お酒が好きなじゅんちゃんと、お酒を一滴も飲まない志帆。「シングルマザーで男性はもういいです」という志帆に対して、「お酒を飲まない人と関係性をどうつくっていこうか」とじゅんちゃん、そんなところから始まりました。
二人の共通点は「人生の谷」を経験していること。闇にダイブしたことがある二人だから、心の闇に触れていくことに自分たちのリソースが使えるのではないか。二人でつくるプロジェクトは「闇」を扱う内容にしよう、その「闇」をポップに扱ってみようということで、ワークショップは「森のかくれんぼ」と名付けました。
ワークショップの開催場所を検討する中で、ご縁のあった「湯河原」を志帆が提案。東京からも離れているし人が来てくれるかどうかも分からないけれど、じゅんちゃんが「いいじゃん、いいじゃん」と後押しするカタチで決まりました。
シングルマザーである志帆にとって、自分がワークショップに参加する際も、常に「子どもはどうする?」ということをセットで考える必要がありました。そのため、このワークショップでは、シッターさんを依頼して子連れ参加可能という形にしました。それは、準備段階だけでなく、当日の場づくりにも影響があることでしたが「二人で、ならやってみよう!」とワークショップを開催しました。
このやりとりを振り返ってみると、志帆が一歩飛び出すことを言ってみる、それをじゅんちゃんが肯定的に受け止める。これは後々「二人の関係性のパターン」にとてもよく現れる原型の様なものだったかもしれません。
そして、志帆はこの「関係性から創る」という体験を経て、自身が「関係性のシステムコーチング」を学び始めました。
3人の出会い
Story #03-2
「コーリードプロジェクト」開催に当たり、志帆が子どもを連れて来ました。じゅんちゃんが子どもに出会ったのはその時が初めてでした。
子どもからすると「ママはずっと知らない人と一緒にいる」ということに怒りを感じていたのか、「早く帰ろう!」と、志帆に怒りをぶつけていました。その場で、呆然と立ち尽くすじゅんちゃん。これが子どもが居る現実、ぐちゃぐちゃさ、これが全てです、という感じでした。シングルマザーの大変さにじゅんちゃんは引くかもしれない、と志帆は思いました。
その後、「コーリードプロジェクト」が終わり数週間後にお疲れ様会をしようと、志帆が子どもを連れて京都に寄り、3人で会う機会が再びありました。
その時、なぜか子どもは自然とじゅんちゃんと志帆の間で手を繋ぎ、3人で歩いたのです。「なんだか、家族っぽい」そんな瞬間でした。そして、家に帰ってから子どもが「じゅんちゃんって、パパみたいだね」と言ったのです。子どもは何かを感じる力を持っていたのでしょうか。
2人の未来・家族のゆらぎ
Story #03-3
「コーリードプロジェクト」後も、自然と二人のその先の未来について話すようになりました。志帆にとっての夢は「子どもをつれて世界中を回りながらコーチングをすること」、それに対してじゅんちゃんは「それをやらないと志帆じゃない」と力強く応援しました。
そんな二人の未来を話していく中で、じゅんちゃんが、ふと「とりあえず結婚しようか」と言いました。その言葉は、志帆にとってとても嬉しいと同時に、親と同居している今の生活に"ゆらぎ"を与えるものでした。そして、志帆から出てきた言葉は「え、自分が言っている意味わかってる?」でした。
まず、子どもとお風呂で話し相談しました。「じゅんちゃんがパパになってくれるかもしれないんだけど、どう思う?」と尋ねてみました。そしたら「僕は会っているからビックリしないけど、ばあばはびっくりするだろうね、学校は変わりたくないな。」と。
孫のことをずっと育てていくものだと覚悟していた志帆の両親は、頭では「孫に新しいお父さんができること」を喜ぶべきと分かりながら、心は痛い、受け入れられない痛みを抱えているように見えました。その痛みと共にいることは、志帆自身にとっても非常につらい状況でした。
そんな中でも、志帆の気持ちは変化していきます。これまでは、再び傷つくことを恐れて石橋を叩こうとしていたけれど、そもそも絶対的なものなんてない。それであれば、失敗しないようにと慎重に渡るのではなく「もう一度失敗してもいいか!」とジャンプしてみようと思えてきたのです。
「ステップファミリーを創る」プロジェクトの始まり
Story #03-4
とは言え、どうやって進んでいったらいいか分からないこの道を前に進めるため、システムコーチングを二人で受け始めました。
親の価値観と自分たちの作りたい家族観、子どもの名字をどうするか、結婚式をどうするか、仕事はどうするか、住む場所はどうするか、お金の価値観はどうすり合わせるか、ありとあらゆるアイデンティティが変わる出来事をシステムコーチングを通じて、対話し、前に進めてきました。
志帆にとっては、子どもを巻き込み、親を巻き込み、また失敗したらどうするんだ、という怖い道でもありました。じゅんちゃんにとっても、子どもとどう関わっていいか分からない、志帆の親はあまり前向きではない、そこからどういう関係性を創っていけるのか戸惑っていました。
じゅんちゃんの親も「いつ結婚するの?」とずっと聞き続けてはいたけれど、いざ「結婚する」となり相手がシングルマザーで子どももいるとなると、何も心配がないわけではありません。3人でじゅんちゃんの両親に会いに行き、その姿を見て安心してもらい、応援してくれるようになりました。
そして、それまで疎遠だったじゅんちゃんと両親との関係性も変わり始めます。父親の出生についても教えてもらいました。じゅんちゃんの父親は実はシングルマザーの子どもで、父親を知らずに育っていたというのです。何のご縁なのか、親子の不思議な縁も感じるようになりました。
自分の父親も「お父さん」を知らずに、父をしていた。
だから、親と子にあつい。
親との関係や、子との関係に常にグラつきはあるけれど、
- ・ベースは夫婦二人の関係性、チェックインと対話をし続けていれば大丈夫
- ・大事な人の大事なものを大事にすることは深い愛の形
- ・パートナーシップを深めるには、「闇」と「夢」をシェアすることが重要
そんなことが分かってきました。
Co-leaders設立
Story #03-5
システムコーチングを受けて半年後、京都に移り住み、3人の生活がスタートしても、グラグラの連続。3人3様それぞれの当たり前が通用しないということへの動揺の連続でした。
それでも、その都度「家族会議」を開き、気持ちをシェアして我々の道を創ってきました。「お父さん」のことを「じゅんちゃん」と呼んでもいい。PTAや参観日には「お母さん」じゃなくても「行ける方が行く」スタイル。ステップファミリーであることは、子どもの友達やそのご両親にもオープンで行く。
「普通」の家族なんてない。自分たちの家族は自分たちで創っていくんだね、そんな思いが我が家には醸成されました。そんな中、我が家の「家族会議」が雑誌に掲載されたことがありました。「お互いがありのままで対話し続けて、どちらに合わせるでもない未来を創っていくこと。」私たちがやりたいことであり、やれることは正にこれだなと思いました。
そして結婚して1年ほど経ったある時、じゅんちゃんが「今の会社(所属しているエンジニアとしての会社)を辞めようかな。。」と言い出しました。それを聴いた志帆からは「じゃ、一緒に会社やろうか。」という言葉が自然に出てきました。一緒にやるとしたら、することはもう決まっていました。これが二人が一緒に法人を営むきっかけとなり、2017年2月にCo-leadersを設立しました。
余談ですが、結果的に今じゅんちゃんは所属する会社を辞めることなく、Co-leadersを副業として経営することを選択しています。(やりたくない気持ちに嘘をつかずに表現したら、結果的に嫌なことではなく、現在は社内でコーチングを広めたり、システムコーチングや対話の場を拡げる活動ができる周りの環境が徐々に整い、お陰様で活かされています。)
Co-leadersとしてあらゆる組織開発や1on1の導入等に取り組んだり、あらゆる家族への支援を"コーリード"しつつ、家族という関係性もコーリードしています。